top of page
SOU
JR-Sojiji Station Art Project
第1回展示
2018年3月17日ー9月29日

SOU — JR総持寺駅アートプロジェクトは、JR総持寺駅開業とともに、芸術文化によるまちづくりを目的として、生活の中でアートに出会う環境をつくり、アートを知るきっかけの場となればという願いを持って立ち上げられました。 壁面をかざる作品は、有名・無名、また地域・年齢に関係なく様々な作家の絵画や写真、現代アートや児童画など、形式的なジャンルを横断した新しい表現方法や美的価値のある作品を紹介します。 展示は約半年ごとに入れ替えを行ない、継続するアートプロジェクトとして、駅・まち・生活とアートとの関係を問いかけます。 壁面の作品は実際の作品を撮影した後、大型にプリントしたものを展示しています。

 

第1回目の展示は、上田匡志・舩井裕・吉岡千尋 ・松田啓佑 の4名の作品を紹介します。

上田匡志  「恐竜ワールドのおわり」
2011年制作 縦54.3 × 横76.9 cm(実作品サイズ)

紙にポスターカラー、マーカー

 

上田匡志さん(うえだただし・1991年生まれ)の作品のモチーフは80年代の『ナショナル・ジオグラフィック』に掲載された「恐竜が絶滅する瞬間の恐竜たちが逃げ惑う姿」です。忠実に同じものを描いた筈なのですが、ひとつの違いがあるとすれば、恐竜はみんな平地で楽しげに遊び、川ではワニのような生きものが優雅に泳いでいて、危機感なんてまったく感じていないところです。唯一、丘の上の恐竜が遠くの煙に気付いていますが、はたして、恐竜たちは助かるのでしょうか。

上田さんは「恐竜たちは遊んでいて富士山が大爆発していることに気付いていないんだ。火炎放射器(=溶岩)に当たると溶けてしまうのに。」と語ります。程よく力が抜けた線とどこか愛らしい形、丁寧に着色されたカラフルな色使いが私たちの心を惹きつけ、見ていて飽きることがありません。

舩井裕 ※タイトル不詳

1968年頃制作 縦45.7 × 横36.0 cm(実作品イメージサイズ)

紙にリトグラフ

舩井裕さん(ふないゆたか・1932年生まれ、2010年没)は画家として長いキャリアの中で時代の動向に反応しながら様々な技法を使い多様な作品を制作しました。その中でも幾何学的でポップな図柄を持った本作品は、30代半ばに制作したリトグラフという手法の版画作品です。

シャープな線、記号のようなシンプルな形や色彩を理論的に構築させながらも、作品から受ける印象はどこかユーモアがあり、作者の人間性が感じられます。約50年前に制作されたにもかかわらず、作品の持つ躍動感や緊張感は、色あせるどころかむしろ現代に強く語りかけます。

吉岡千尋 「sub rosa 2」

2017 年制作 縦145.6 × 横97.2 cm(実作品サイズ)

キャンバスに油彩・銀粉

吉岡千尋さん(よしおかちひろ・1981年生まれ)は、薔薇とその周囲を描いたシリーズを制作しています。銀粉を背景に使用した画面は、一見すると描き込まれていないように見えます。あえて「描かれていない」「塗り残しがある」という不完全な状態をつくることで、見る人の想像力をかき立て、絵の中だけではとどまらない広がりを持った存在感と魅力を与えてくれます。

「揺らめく光や影の中でこちらを向くバラ、印象に残っていても描こうとすると曖昧になるイメージを、シルバー地と油彩の筆跡が織りなす『図と地』の可逆性によって伝えようとしています。」と吉岡さんは説明します。

松田啓佑 「UNTITLED」

2015 年制作 縦73.0 × 横105.0 cm(実作品サイズ)

キャンバスに油彩

松田啓佑さん (まつだけいすけ・1984年生まれ)の作品は、見る側に自由な想像力を解放してくれる作品です。力強い筆の動きを私たちにも感じ取ることができ、色と色が交わる・線と線が重なるなど、画面の中で変化するリズムが心地よく感じられます。松田さんは次のように語ります。「私は『絵の具と絵画における表現が一体となっている絵』に惹かれます。目の前にある、物質的世界とそうでない世界が共に存在しているということを感じた時に出現するイメージを、形・色・筆致・構図・絵の具の状態等に変換し、キャンヴァス上に表現しています。そうすることにより、私の求める『絵の具と絵画における表現が一体となっている絵』が描けるのではないかと考えています。」

bottom of page